副腎が分泌するホルモン

副腎です。腎臓と紛らわしいのですが、
まったく異なる働きをしています。
副腎は多様なホルモンを合成・分泌している、分泌器官です。
一方の腎臓は、おもに尿をつくっている臓器です。

血糖コントロールが上手くいっていない糖尿病で、
腎臓での疾患は3大併合症の1つとなっていますが、
副腎の疾患も併合症として深刻なもの、発症すると完治は難しいといわれています。

血糖コントロールが上手くできないと、
副腎では、骨格筋・心筋などでの筋力低下や疲労感、ストレスや感染に弱くなり、勃起不全、PMSなどを含め、実に様々な障害をおこします。

副腎は、副腎皮質と副腎髄質に分けられ、 それぞれ、多種類のホルモンを合成・分泌しています。

  1. 副腎皮質からは、副腎皮質ホルモンを分泌。分泌は脳下垂体がコントロール
    • 糖質コルチコイド:糖質の貯蔵と利用を促進、欠乏はインスリン抵抗性が悪化する
    • 鉱質コルチコイド:体のphバランスを調整している
    • 性ホルモン:アンドロゲン(女性では副腎のみで合成されている)
  2. 副腎髄質は、カテコールアミンを分泌(交換神経の刺激で分必される)
    ※ 体のストレス反応などを調節するホルモンです。血中にでるのはアドレナリンがほとんど。
    • エピネフリン(アドレナリン)
    • ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)
    • ドーパミン など

副腎の労り方

  • ステロイドホルモン剤を中止しない限り副腎機能は回復しない。自分でつくろうとしなくなる。(医師との相談なしに突然中止することも危険です)
  • 去勢や不妊手術をすると、性ホルモンの行き場がなくなり、副腎に腫瘍ができやすくなる
  • ストレスで消耗するビタミンCが副腎には大量に存在している、Cを積極的に摂取する
  • 血行をよくすると弱った機能が活性化されやすく、自律神経機能もよくなってくる
  • 砂糖(ショ糖)を控える。砂糖は腎臓がつくるステロイドホルモンを消費する(アレルギー抑制に効果)

糖尿病の合併症糖尿病性腎症
■ 糖質コルチコイド : 副腎は多様なホルモンを分泌

GLUTを使って血糖値を下げる

GLUT:グルットと読みます。
グルコーストランスポーターあるいは糖輸送体ともいいます。GLUTは1番から7番までの分子構造が報告されていて、細胞内へのグルコース取り込みを仲介しています。

血糖値はインスリンの働きで下がるのですが、
高血糖の場合はこの働きが低下しています。
しかし、運動をすると、
このような状態でもAMPキナーゼがGLUTに働き、
血糖値が下がります。
インスリン、AMPキナーゼ、GLUTの関係を知ると、
運動の大切さが納得できます。

GLUTはこんな働きをしています。

通常はインスリンの刺激で、グルコース取り込みを促進

  • 細胞の表面を覆う細胞膜には、1つの細胞に数十個から多いものでは20万個にもなるインスリン・レセプター(インスリン受容体)といわれるものがあります
  • 血液中にあるインスリンが、筋肉細胞や脂肪細胞のインスリン受容体に結合すると、細胞内にあったGLUTが細胞膜上へ移動し、細胞内へのグルコースの取り込みが促進されます
  • インスリンが受容体から離れると、GLUTは細胞膜上から細胞内膜へと戻されます

運動中はインスリンを必要としないGLUT

GLUTには7個の型が報告されています。 高血糖では、4番のGLUT-4の活性が低下し、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織で、インシュリンが十分な機能を果さなくなるのですが、

  • 健康な場合でも運動をしているときは、インスリンではなく、AMPキナーゼを活性化する
  • 血液中にあるインスリンが、筋肉細胞や脂肪細胞のインスリン受容体に結合すると、細胞内にあったGLUTが細胞膜上へ移動し、細胞内へのグルコースの取り込みが促進されます
  • GLUTが細胞内から細胞膜上に移動(Trans Location)してきます

メタボリックシンドローム、例えば糖尿病に、
運動が必要な理由がコレです。
インスリンに依存することなくブドウ糖を消費することができるのです。

血糖値高血糖に運動が良い理由

血糖とは、血液中のブドウ糖

一般に血糖とは血液中のブドウ糖のことを指しています。
ブドウ糖は全身の細胞に必要なエネルギー源になるもので、炭水化物を食べた場合には腸でブドウ糖として吸収され、血液に乗せ、すぐに全身に運ばれます。

食後の血液中には、このように炭水化物を消化・吸収したブドウ糖があり、空腹を感じているときは、グリコーゲン・脂肪・タンパク質からつくられるブドウ糖があります。

血液中にある血糖は細胞中に取り込まれ、細胞のエネルギー生産で消費されるので、インスリンとグルカゴンというホルモンが血液中の量(血糖)が一定になるようにコントロールしています。
しかし、特に糖尿病などの病気では、インスリンの働きが悪くなっているため、血液中の血糖が多くなっている状態(高血糖)が続きます。

血糖を検査することで、高値であれば高血糖や糖尿病が、低値ではホルモン異常や内臓疾患のことがわかります。また、糖尿病では、合併症の進展を抑えるために血糖値測定は欠かせないものとなっています。

血糖の基準値

  • 空腹時血糖   … 70〜109mg/dl
  • 食後2時間血糖 … 140mg/dl未満

血糖値異常で疑われる疾患

  • 高値の場合 ... 糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝炎、肝硬変、末端肥大症、褐色細胞腫など
  • 低値の場合 ... インスリンノーマ(膵島線種)、糖原病、肝臓がん、ガラクトース血症など

■ このページも参考に :血糖値血糖とは


グルカゴンは抗インスリン

インシュリンと共に血糖値を一定に保つ作用をするホルモンで、膵臓ランゲルハンス島のA細胞(α細胞)で生合成・分泌されます。
グルカゴンは血糖を上げる働きがあることから、抗インシュリン、インシュリンBとも言われ、低血糖が刺激となり肝細胞に作用してグリコーゲンの分解を促進する。

グルカゴンの分泌

低血糖になると分泌が促進され、高血糖では抑制されています。
  • 分泌を抑制するもの:高血糖、遊離脂肪酸、ソマトスタチン、セクレチン
  • 分泌を促進するもの:低血糖、アルギニンなどのアミノ酸

グルカゴンの基準値は40-180pg/mLですが数値が300pg/mLを超えるとグルカゴン産生腫瘍や糖尿病性ケトアシドーシス、熱傷などに罹りやすくなります。
★ 既にインスリンを分泌していない1型糖尿病患者では、低血糖という刺激があっても、グルカゴンが分泌されなくなっている。このため、低血糖が悪化しやすく危険ということでもある。

グルカゴンの働き

  1. 次のような働きでブドウ糖がつくられ、血糖値を上げます。
    • 肝臓ではグリコーゲン分解を促進(グリコーゲンホスホリラーゼの活性化)
    • 骨格筋ではアミノ酸からの糖新生を促進
  2. 脂肪細胞で脂肪分解を促進、遊離脂肪酸が放出されます。
    • 脂肪組織では、脂肪酸とグリセロールへの分解が促進されることで遊離脂肪酸が放出され、これは肝臓でケトン体をつくる原料になります。ケトン体は全身に運ばれエネルギー源になることがあります。
  3. 膵B細胞のインシュリン分泌、膵D細胞のソマトスタチン分泌、下垂体前葉の成長ホルモン分泌を刺激します。

グルカゴンが減少する疾患

自発性低血糖症、糖尿病(不安定型)、慢性膵炎(重症型)、膵全摘 など

グルカゴンが上昇する疾患

クッシング症候群、グルカゴン産生腫瘍(膵A細胞腫)、胃切除後、肝硬変、急性心筋梗塞、急性膵炎、腎不全、糖尿病 (ケトーシスを伴うとき著しく高値となる)


血糖とは血糖値マメ辞典グルカゴン

インスリンとメタボの関係

インスリンは膵臓にあるランゲルハンス島(膵島)のβ細胞から分泌されるホルモンの一種。 インスリンは、ホルモンで唯一、血糖値を下げる働きをしています。

  • 食事をしてブドウ糖が吸収されはじめると(血糖値上昇)、瞬時にインスリンが分泌される
  • インスリンの働きで、血糖(ブドウ糖)が細胞内に取り込まれる
  • 結果、血液中のブドウ糖の濃度が下がる(血糖値低下)

健康な体では、血糖値が上昇するとインスリンが分泌され、
血糖値が一定の範囲になるように働いているのです。

インスリンは、ブドウ糖(炭水化物)だけでなく、
脂肪(脂質)やタンパク質の代謝などにも深く関わっています。
肥満、特に内臓肥満では、肥大した脂肪細胞からインスリンの働きを悪くするサイトカイン(局所ホルモン)が分泌されることで、更に、働きを悪くさせます。

メタボ予備軍や糖尿病予備軍といわれる段階であれば、
内臓肥満を解消することで、インスリンは元気を取り戻すことができますので、 ストレスを避け運動とカロリーコントロールで、適正体重を維持していくことが大切です。

インスリンのポイント

  • インスリンは、膵臓から血液中に分泌されているホルモン
  • 食事に関係なく分泌される基礎分泌と、食後に一過性に多量に分泌される追加分泌がある
  • インスリンの作用は、血糖を各細胞で利用させることであり、結果として血糖値を下げる

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームとは、生活習慣病がたまたま一人の人に同時に起こるのではく、 過剰に溜まった内蔵脂肪が原因で幾つもの病気が起きてくる状態をいいます。 それぞれの病気は、すぐに治療が必要なほど悪い訳ではないことが多いのですが、それらが複数より集まるため、血管に非常な負担がかかているのです。
(日本生活習慣病予防協会より)

インスリンとメタボの関係

メタボリックシンドロームはベースに肥満があり、その合併症の1つが糖尿病です。 インスリンの働きが悪くなった糖尿病は、最終形ではなく、さらに様々な疾患の始まりとなります。

肥満からはじまるメタボリックシンドロームですが、
肥満の次に来るもの、それは各人の遺伝的器質や生活習慣などで、もっとも強く現れる疾患が変わっていきます。

血中インスリンと病態糖尿病の併合症
インスリン問題は、甘くない生活になる



インスリン拮抗ホルモン

インスリンが血糖値を下げる働きをすることから、 インスリン拮抗ホルモンとは、血糖値を上げるホルモンを指します。
血糖上昇ホルモンとも呼ばれます。

血糖値を上げるホルモンとして、低血糖時に分泌されるグルカゴンエピネフリン(アドレナリン)糖質コルチコイド成長ホルモンなどが知られています。

低血糖のとき放出されるホルモンです

これらのホルモンは、低血糖になると血糖の量に応じて一定の順序で働きはじめます。 ただし、血糖をコントロールする薬剤を服用しているときなどで、低血糖になり速効で血糖値を上げるには、ブドウ糖を摂取します。

  1. 血糖値が約80mg/dl 以下になると、インスリンの分泌が極端に低下します
  2. 70mg/dl 以下になると「空腹感」があり、あくび、悪心などの症状になります
  3. 約65〜70mg/dl で、グルカゴン、アドレナリンが大量に放出され始めます
  4. 約60-65mg/dl で、成長ホルモンが放出され始めます
  5. 60mg/dl 以下で、最後の血糖値を上げるホルモンコルチゾールの分泌が始まります
  6. 50mg/dl 以下は大脳のエネルギー代謝が維持できない、危険な状態です。無気力、倦怠感、計算力減退などとなり、 40を切ると、冷や汗、動悸、震えなどがあらわれます。
  • 糖尿病で普段高血糖状態にある場合は、上記の数値よりも高い血糖値でおこっています。
  • 交感神経系のホルモンといわれるアドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミンなどはカテコールアミンとも呼ばれる。低血糖時の症状はこれらによるもので、危険を示すサインです。
  • 無自覚低血糖:インスリン療法時に糖尿病性自律神経障害により警告症状が無い。

糖尿病性腎症高血糖となる疾患血糖値を上げるホルモン



血糖値を下げる食品・食べ物・栄養素は?

血糖値が上がったときとき、下げてくれるのは唯一、インスリンのみです。

インスリンやインスリンを合成・分泌している膵臓の働きに障害がでたらどうするか?
糖尿病は初期段階の自覚症状が無いため、発見されたときにはすでに、 なんらかの障害が発生していることが多く、こうなると現代の医療では恢復させることは困難です。 残りの人生を少ないインスリンで済ませられる食事にする、 さらに進行すると、注射でインスリンを補う、といことになります。

私たちのカラダには、インスリンが無くてもブドウ糖を消費させるしくみもありますが、この仕組みで年単位、長期に渡り暮らすことはできません。
これが2型糖尿病といわれる疾患です。

また、インスリンの合成・分泌ができない1型糖尿病や、2型糖尿病でも症状が深刻になると1型に近いものとなり、高血糖が引きおこす可能性がある様々な合併症との戦いが続きます。 糖尿病に関わらずメタボリックシンドローム予備軍のときから、インスリンを合成・分泌している膵臓を労る生活が大事です。適切なカロリー摂取となるように、過食を避け、運動をし、そしてインスリン様作用を持つ栄養素を取り入れたいものです。

食べ物には、インスリンの合成やインスリンの働きを助けると考えられるものがあります。 偏った食事や精製原料を使うことが多くなっている現代の食生活では、意識して食べることが必要になっていると思われます。 インスリン合成の原料、分泌を促すビタミン、 ブドウ糖の細胞吸収を促す栄養素、
..... など、探すと結構あります。

血糖値を下げる、栄養成分・食べ物



空腹時血糖値 ... メタボも注意

空腹時血糖値が126mg/dl 以上になると、糖尿病が疑われます。

空腹時血糖値とは、前夜21時以降の食事が無く、朝食前に測定する血液中のブドウ糖の値です。健康診断で前日の食事制限があるのはこのためです。 また、尿検査で尿糖といわれる指標がありますが、これで糖尿病の診断をすることはありません。糖尿病の診断には空腹時血糖値を計ります。

健康な体の空腹時血糖値は、110mg/dl未満(70〜109mg/dl)程度です。 109までは正常値となっているのですが、米国では100となっています。 日本人は白人に比べて、
糖尿病になりやすいと言われつつ、なぜ?
色々と都合があるようで、結局は「正常高値」なる区分になっています。

食後では、健康な人の場合、血糖値が140くらいまでは上昇しますが、 糖尿病では200以上となることがあります。

糖尿病の診断基準 | ブドウ糖とインスリン
メタボリックシンドロームと疾患関連情報



グルコース

ヒトの全身の細胞では、グルコース(ブドウ糖)からエネルギーを生産している。 グルコースはもっとも重要な栄養素ですが、10年、20年と長期に渡り過剰になると、様々な疾患を引き起こします。

  • 脳のエネルギー源はグルコースだけです。不足は脳の活力が低下するため、「空腹」を感じさせることで、グルコースを要求します。
  • 脂肪やタンパク質からもグルコースをつくることができますが、これは低血糖になったときの緊急措置です。飢えに苦しむようなときにおこります。
  • 炭水化物(糖質)を食べると、腸でグルコースとして吸収され、血液に乗って全身に運ばれます。速攻で吸収されるものは砂糖やハチミツ、甘い物です。
  • 血液中にあるグルコース(ブドウ糖)のことを血糖といいます。
  • 全身の細胞では、インスリンの働きで細胞内にブドウ糖が取り込まれ、細胞のエネルギー源として利用できるようになります。
  • インスリンの働きが悪いと細胞でブドウ糖が利用されないため、血液の血糖値が上昇していきます。
  • インスリン以外にも血糖値を上げたり、逆に下げたりする病態があります。

血糖値が上がる疾患

クッシング症候群、サイアザイド系降下症、悪性高血圧症、火傷、外傷、巨人症、狭心症、甲状腺機能亢進症、骨折、手術、情緒的ストレス、心筋梗塞、代謝性疾患、中枢神経系疾患、糖尿病、内分泌性疾患、妊娠、脳腫瘍クモ膜下出血、副腎髄質腫瘍、末端肥大症、膵疾患 など

血糖値が下がるがる疾患

アジソン病、インスリノーマ、胃癌、下垂体機能低下症、肝疾患、甲状腺機能低下症、高インスリン血症、小児特発性低血症、食事性・機能的反応性低血糖、腎性糖尿、繊維腫及び肉腫、中枢神経疾患、脳下垂体不全症、副腎皮質機能低下症 など

小学生でも糖尿病になる時代

上記のように、血糖値から様々な疾患が疑われることがあります。もっとも一般的なものが糖尿病ですが、健康診断で「血糖値が高い」となったら、生活習慣の見直しを始めるのが賢い選択です。
高血糖だけで、糖尿病と診断されることはありません。

ブドウ糖とインスリン | 糖尿病の判定基準